2015年6月30日火曜日

ヤマノカミ。




ヤマノカミ…

先ず最初にその名前のカッコよさに惹かれてしまった魚。

カジカの仲間で、
日本では九州の限られた地域にしか生息していない。


有明海とそれに注ぐ河川に生息している…

という情報しか無かったため、
該当する条件の河川に片っ端から入り、オガケン教授と共に調査を開始。


5~6月は川に入るということで、
開拓調査するのであれば時期的にも悪くない。



川を覗きこむと…

石と石の間…

ピュッ!ピュピュッ!…


と、素早く動きまわる黒い影が目に映った。


早速、神出現か!?


………


しかし、その正体はヌマチチブ。


カジカの仲間であれば、動きは決して早くはないはず。


カジカ系の魚は動きが遅く、なんとなくドン臭いイメージ。


しかしボトムへの擬態能力は天下一品。


自分に自信を持っているのか、人間が近づいても逃げないことが多い。笑



そして今回のターゲットは、その名もヤマノカミ!


ヤマノカミという名前の由来は不明であるが、
神と言う名を持つ魚が臆病なワケがない。


岩の上でズシリと構えているはず!


オガケン教授と二人、
名前イメージだけでこの魚に対する勝手な憶測が飛び交う。笑



どうこう言っていても何も始まらない…

この川に間違いなく潜んでいるはず!


ベリタス片手に川に入った。


餌はコンビニで購入した魚肉ソーセージ。


仕掛けは小型のセイゴ針と、その上部にガン玉を噛ませたシンプルなもの。




仕掛けを大きめの岩と岩の間に垂らすと、
ゴリやチチブ…ハゼ系の魚達が次から次へと飛び出してくる。



きみたちじゃないんだよ…

予想してはいたが、
昼行性かつ、動きの早いハゼ系の魚達が先に食ってきてしまう。。。

探り釣りをやめ、一か八かサイトで探すことにした。




大きめの岩が転がるエリア…

ここは少し水深がある。


ボトム付近を凝視すると、
灰色く、少し平べったい魚体が目に映った。


岩の上にズシリと構えるその姿…

間違いない!あれはヤマノカミ!!!


神への挑戦…

魚肉ソーセージを落とし込み、

神にアプローチをかける。

着底後、子気味の良いアタリが伝わる。


…が、正体はヌマチチブ。


ヌマチチブの魚影が濃く、異常なぐらい活性も高い。


神の護衛…ヌマチチブ


ヤマノカミに到達するまでに、ヌマチチブに餌をとられてしまう。

到達させても動きの早いヌマチチブによる餌の横取りに悩まされ続けた。


ヌマチチブの猛攻に難儀していると、神はゆっくりと泳ぎ去っていった。。。



気を取り直して別の個体を探す。

しばらくして別個体を見つけたが、これもヌマチチブの妨害により失敗。


ヌマチチブのラッシュに奮闘していると、
メガサイズのオイカワとカワムツをルアーで釣りまくっているオガケン教授&ボンバダTERUさん。


ええな~

ワシも釣りたい…


イ、イカン!

カワノカミ…カワノカミ…

間違えた。

ヤマノカミ…ヤマノカミ…


異常に活性の高いヌマチチブをなんとかしなければならない…

残された時間もあと少し…

焦りながらも水中を凝視…

神の姿が目に映った。


三度目の挑戦。


アグレッシブなヌマチチブをなんとかするため、魚肉ソーセージを撒く…

流れに乗り、下流側に落ちていく破片。

これにヌマチチブが群がりだしたところ、仕掛けを投入。


ヤマノカミに向ってダイレクトにフォールする仕掛け…

これならいけるはず!


………


しかしそう上手くいかない…フォールする仕掛けをヌマチチブが横取り。


一瞬で刺し餌が無くなってしまった。


ゆっくりと泳ぎだす神…


今までの釣りでカジカは頭上で動くものに高確率で食いつくというイメージがあった。


ひょっとしたら…


餌の無くなった仕掛けを回収せず、その場でシェイクする…


頭を持ち上げたかと思うと…パクッ!


食いついたと同時に素早く抜きあげた。






神様!きたぁぁぁ!!!






オレンジ色に縁どられたエラが美しい…






7センチとまだまだ小さいが、その姿は間違いなくヤマノカミだった。


他のカジカに比べると口元が細長く、少し小顔な印象。

これまで抱いていたカワイイ系のカジカイメージを払拭してくれた、
自分の中でカッコイイ系のカジカ。


肉食性のヤマノカミは魚類・水生昆虫・甲殻類を捕食する。

夜行性のためか、明るい時間帯はあまり動かない様子だった。

石と石の間に潜んでいるイメージだったが、今回見つけたのは全て石の真上。

今回見つけた釣り場は他の魚が多く、それを回避するのがキモな気がする…笑


ヤマノカミは年魚。

1~3月、ヤマノカミの産卵は海で行われ、羽化した稚魚たちは河口付近で浮遊生活を送る。

5~6月になると稚魚たちは川を遡り、急速に成長していく。

11~12月になり水温が低下すると、ヤマノカミの成魚は川を下って海に入る。

1~3月になると河口付近にて産卵。産卵後にはオスメスとも死んでしまうという。


堰建設や河川改修…

人間の手により生息数が著しく減少しているというが、彼らは一生懸命に生命を繋いでいる。


写真撮影後、水中にそっとリリース。

ヤマノカミはゆっくりと泳ぎ出し、深みの方へ姿を消した。






ヤマノカミ…

また一つ、憧れの存在に逢うことができた。


いつの日かまたこの地で…



お付き合い頂いた、オガケン教授・TERUさん。

ありがとうございましたm(__)m