2015年7月27日月曜日

幽谷の大和岩魚。







ヤマトイワナ/Salvelinus leucomaenis japonicus


日本に生息するイワナの一種。

山間部の夏場でも15℃を上回らない水域。
主に源流域に棲息しており、小魚や甲殻類、昆虫などを捕食している。

生息は局地的。

イワナ類は山間部において、
古くからタンパク源として欠かせない存在であり、
郷土料理の一つとして古くから親しまれてきた。

釣りのターゲットとしても人気が高い。

近年は遊漁目的で放流されている、
ニッコウイワナとの交雑による遺伝子汚染。
それに伴った純血種の減少などが懸念されている。



ヤマトイワナとニッコウイワナの判別について…



簡単な見分け方としては、背中の白点の有無。

ニッコウイワナの背部は白点が目立つが、
ヤマトイワナの背部には白点が無く、魚体側面の朱点が浮き出る。






ヤマトイワナ






ニッコウイワナ



後で出てくるが、
ヤマトイワナとニッコウイワナの混血。

両種の中間にあたる交雑個体もおり、
判別が難しいイワナも…

今回の記事に出てくるイワナ写真につきましては、素人目線での判別になります。

もし、違っていたらすみません。



イワナという魚について…



日本に生息するイワナは、
エゾイワナ(アメマス)・ヤマトイワナ・ニッコウイワナ・ゴギの4種類。
最近の研究ではこれらは地域的な亜種とされている。

ちなみに北海道に生息するオショロコマはイワナの近縁種とされ、
然別湖に生息するミヤベイワナはオショロコマの亜種にあたるとのこと。

地域的亜種が存在するイワナだが、
同じ地域においても、沢によって模様や見た目が微妙に違っており、
その沢ごとに独自イワナが存在している。

近年は遊漁目的で広く放流されている、
ニッコウイワナとの交雑における遺伝子の汚染問題が深刻な問題となっている。
なぜニッコウイワナが広く放流されるかというと、
性質的に比較的、人に慣れ易く、養殖もしやすいのだとか。

一方、ヤマトイワナは臆病で餌付けしにくく、
養殖が難しいという…コスト的にも高い。

イワナは容易に交雑するため、
ヤマトイワナしか棲息していない水域にニッコウイワナを放流すれば、
ヤマトイワナ✕ニッコウイワナの交雑個体が誕生する。

河川ごとに独自の進化を遂げようとしているイワナ。
ヤマトイワナを増やす目的で、他の河川のヤマトイワナを移植する…
ヤマトイワナの数は増えても、
その河川独自のイワナの遺伝子は薄れ、結果的には遺伝子汚染となってしまう。

在来種の遺伝子汚染…これは深刻な問題。


放流するのであれば、

「魚を増やす…」

人間は目先の利益・結果だけに拘るのではなく、
それ以外に事も目を向け、慎重に考えて動かなければならない。

今回の釣行時も、
場所によってはヤマトイワナ✕ニッコウイワナの交雑個体が多く見られた。






ヤマトイワナについて気になりだしたのは、つい最近のことだった。


「イワナ」


…について調べていて、目についた一枚の写真。


スッと尖った顔つき、
黒くサビの出た魚体、くっきりと浮き出た橙色の朱点…


「なんてカッコええ魚なんや!!!」


思わず一目惚れしてしまった…


その魚の名前はヤマトイワナ。


調べれば調べるほど、魅力的な魚だった。


様々な要因で生息数が減っており、希少な魚なのだという…

同時に各地でニッコウイワナとの交雑も進んでおり、
将来的には純血に近いヤマトイワナは見れなくなるかもしれない…

現段階でも純血個体はかなり少ないと思われるが、
完全な純血種でなくても、
ヤマトイワナ…その姿を一目見てみたい。


思い立ったら即行動!


情報も無かったため、完全な開拓釣行だった。


少しの可能性に賭け、
同行者の宮武さんと共に、信州を目指した。



釣行初日の朝一。

目的の河川に到着し、
下調べ時に目をつけていた渓流を目指すが、
その道筋は想像していた以上に険しく、結果的に入渓することができなかった。

開拓開始早々の作戦立て直し。

第二候補地の川までは結構距離がある…

妥協案ではあったが、
地形的に見て有望と思われる、本命近くの名も無き小さな沢に入った。

その沢は木々が鬱蒼としており、
日中でも薄暗く、どこか妖しげな雰囲気が漂っていた…

源流域まで距離はそこそこあると思われるが、
入渓ポイントから釣りを開始。


開始早々に竿が曲がった…








正体はアマゴ。

アマゴの次に飛び出したのはニッコウイワナだった。

早々に連発だが本命ではない…

この後もヒットが続くが、全てニッコウイワナだった。

此処は彼らの領域。

ヤマトイワナに出逢うには、もっと上流に行かなければいけないのだろうか…



源流域を目指して沢を釣り上がっていく…



その出逢いは突然だった。

岩陰からこれまで見たことのないイワナが飛び出した。






この魚はもしや…!?






背部に白点が無く、体表には朱点が散りばめらている。






素人目で見てヤマトイワナ!

なのだが、
ヤマトの血が濃いニッコウとの交雑個体かもしれない。

しかし憧れに一歩近づけたということで、嬉しいイッピキに違いはなかった。






ヤマトイワナ✕ニッコウイワナの交雑個体と思われる魚が飛び出してくる。














ヤマトイワナ、ニッコウイワナ、交雑イワナ…

入り混じって釣れてくるが、どの魚も美しく癒された。

幾つも滝を越え、源流域を目指す…






薄暗い沢を、
何時間歩き続けたかわからない…

源流域に近づけば近づくほど、
ヤマトイワナと思われる魚の数が増えてきた。










サイズはマチマチだが、
ニッコウイワナや混血と思われるイワナの姿はなく、
ヤマトイワナばかりが飛び出した。

随分釣り上がったし、
ヤマトイワナの領域に入ったかな??


次から次へと現れる、流れの落ち込み…

ミノーを撃ちこみ、
連続ジャークで魚を誘い出す…


…ガツン!


気持ち良いアタリと同時に、
目の前でミノーが引ったくられた。






良型のヤマトイワナ。

クリクリ目玉が可愛らしくも、
どこか野性味溢れる面構え…

ヤマトイワナ…カッコええ…








暫くの間、見惚れてしまった。

個人的に十分過ぎるぐらいに満足なイッピキ!

この魚をリリース後、源流へ向けさらに釣り上がった。

滝壺や淵…
良いポイントは良型が待ち構えており、
チャラ瀬には小型が待機している。

魚影の濃い箇所では、
一番大きいと思われる個体から最初に釣れてきた。









最奥地まで釣り上がったが、
源流から数百メートル区間はヤマトイワナばかりだった。

魚体の特徴的にはヤマトイワナ。

ニッコウイワナに比べるて目が大きく、
顔つきも少し違った印象を受けた。


あくまで素人見解であり、
今回釣れたイワナが純血のヤマトイワナかどうか…

確信を持ってヤマトイワナだ!と、断言できませんが、
綺麗な魚に出逢うことができ大満足!

なによりも、


「自己開拓で出逢えた。」


…ということが、
本当に嬉しく、記憶に残る一日でした。





二日目…



新たなポイント開拓のため、
朝一から別支流の源流を目指した。

ヤマトイワナ狙いのため、
源流部に程近い箇所から入渓して釣りを開始。

此処の魚は非常に警戒心が高く、
岩陰や倒木に姿を隠して一発でキャストを決めなければならない…

とある滝壺下…

大岩の隙間にルアーを送り込んだ瞬間だった。






気持ち良いアタリと同時に、
綺麗なヤマトイワナが飛び出してきてくれた。






背面・体表に白点が一切無く、
側面に散りばめられた橙色の朱点…

自分の中で思い描いていた通りのヤマトイワナだった。


この日はとある支流の中流域にも入ってみたが、
ニッコウイワナが多かった。










ヤマトイワナも釣れたが混血イワナが多く、本命のヤマトは極小数。


最後にもう一箇所、別支流の源流域に入った。

混血らしき個体も見られたが、
源流域では綺麗なヤマトイワナが多く見られた。


今回、訪れた河川は五ヶ所。
その全てで運良くヤマトイワナの顔を見ることができた。


ご一緒頂いた宮武さん、お疲れ様でしたm(__)m








タックルデータ

Rod:TULALA ハーモニクス コローナ58
Reel:ダイワ リベルトピクシー
Line:ナイロン10lb
Lure:スミス Dコンタクト各種






今回、渓流で初めてベイトタックルを導入!
ロッドはTULALA ハーモニクスのコローナ58。

木々の生い茂る渓流…特に川幅の狭い源流域では、
ショートレングスを活かし、トラブルレスでUPテンポな攻めが可能。

キャストスペースの少ない渓流において抜群の取り回しの良さ、
ルアー操作時には軽快な操作性を誇ります。

サイド・オーバー・ピッチング・フリップキャスト…

倒木が複雑に入り組んだ箇所に撃ちこみ、
軽快なジャークで魚を誘い出す…


コローナ58のおかげで、
渓流釣りがさらに楽しく感じた今回でした。














大和岩魚…

出逢うことができてよかった…


大和岩魚の棲む渓…

いつかまた…

2015年7月22日水曜日

飛騨・渓流釣行 後編…滝壺の大岩魚。




飛騨釣行二日目…

この日は完全開拓!

まだ入ったことのない支流に入ることにした。


朝一。


昨日の夕マズメに下見した良さ気なポイントに入る。


ミノーを結び流芯にキャストすると…


…ガツン!


気持ち良いアタリがあった。






綺麗な良型ヤマメ。


硬質なアタリと同時に、
弾丸のように走るファイト…とても気持ち良い。笑


いつ見ても美人な魚…








ポイントをスレさせないため、
ヤマメをリリースする前に投げた次の一投でイワナがヒット。

気持ちの良いスタートとなった。


そして移動。

次にやってきたのはエントリーが比較的楽そうなポイントだった。


水量が多いのもあってか、
良さ気な滝壺が点在しており、


いかにも…

と言った大きめの淵が続く…


上流に釣り上がっていき、イワナ・ヤマメを追加。

エントリー箇所に帰ってきた時に良さ気な滝壺が目に入った。
その滝壺は本流を挟んだ対岸側にあり、
十分に攻めるには大回りしなければいけなかった。


「あまり打たれてなさそうやな…」


上流側から忍び寄り、
滝壺にルアーを投げ入れていく…

着水後は沈めてやり、
ジャークを織り交ぜながら、巻き上げていく…

数回ジャークを入れ、
巻き上げた瞬間だった。



…ドパッ!!!



水面を割ってルアーを引ったくられた。

アワセと同時に白泡の中を暴れる魚。

周囲の岩にラインが擦れないようにいなし、
滝壺から一気に抜きあげた。






30半ばぐらいだろうか…

大岩魚と呼べるかどうかは分からないけど、
開拓の末に出会えた、自分の中で格別に嬉しいイッピキ!








青く染まった魚体に緑背。

写真では分かりづらいが、
薄っすらと入った橙色の斑点模様が美しい。

綺麗…そしてカッコええ…

しばし見惚れてしまった。


写真撮影後、魚体を支えてやると、
ゆっくりと泳ぎ出し、深い淵に姿を消した…






リリース後、川が落ち着きだした…

濁りがとれ、水量が安定してからは、
魚の反応が次第に減ってしまった。

滝壺が無くなってしまったのには驚きだったが、
あのタイミングで入れて本当に運が良かったと思う。


鮎釣りに渓流釣師…


人も増えてきたので、
夕マズメまで釣りを楽しみ、撤収することになった。






タックルデータ

Rod:TULALA ハーモニクス スタッカート76
Reel:ダイワ セルテート2500R
Line:PE1.5号+フロロショックリーダー2号
Lure:スミス Dコンタクト各種






良い魚に出会え、大満足だった今回。

今年の夏はまだまだ始まったばかり…

まだまだ渓流に立つ機会が多くなりそう。


ご一緒したマサさん。
いろいろと本当にありがとうございましたm(__)m

また行きましょう~!!!

2015年7月21日火曜日

飛騨・渓流釣行 前編…緑背岩魚。




先週末のこと。

以前からのマサさんと約束していた渓流釣りへ…


飛騨の奥地…

とある山岳渓流を目指した。


釣行前に西日本に直撃した台風の影響が気になっていたが、
今回行った地域は台風のコースから外れており、降水量はあまり多くなかった様子。


釣り場に着き、川の様子を見ると、
水量が少し増え、笹濁りが入っていた…


これなら魚の活性が上がり、むしろ好条件かもしれない。


今回の狙いは渓流というよりか、本流域…

そこに潜むと言われる大岩魚だ。


どの魚が釣れても嬉しいのだけれど、
この水域に潜んでいるという、鼻曲がりの大型イワナを一目見てみたかった。

本流にエントリーするため、小さな沢に入る…


流れの落ち込みや岩の裏…

ルアーを打ち込むと、次から次へと渓魚が飛び出してくる。










小型ではあるが、ヤマメ・イワナ・レインボー。

数百メートル程の区間だが、マサさんと二人揃ってロッドが曲がる。

本命ポイントに入るまでの間だけで程よく楽しめた。


ちなみに本命の本流ポイントでは魚からの反応を得ることはできなかった。

移動し、別の本流ポイントを狙い撃つ。

レインボーやイワナが飛び出してくるが、ここでは可愛らしいサイズが多かった。

何度か大型ヤマメのチェイスがあるも、口を使わせることができず…






タックルデータ

Rod:TULALA ハーモニクス スタッカート76
Reel:ダイワ セルテート2500R
Line:PE1.5号+フロロショックリーダー2号
Lure:スミス Dコンタクト各種・スピナ-各種


今回は本流域メインのため、
サイズが選べない状況、大型のヒットのことも考え、
本流サクラマスタックルを使用。

ロッド全体にハリがあって靭やかなハーモニクス・スタッカート76。
ソフトなティップを活かした細かい誘いも可能なため、
小型ルアー使用時・小型魚相手でも問題なく使用可能。








狙っていたというのもあるけれど、
最も数多く釣れたのはイワナ。

狙い方もミノーのジャークを多用するため、
狙って獲った感があって好きな釣り。


場所・個体によってバラエティに富んだ体色を見せてくれる。

イワナは釣っていて飽きがこない…






初日の夕マズメ…

開拓で入った支流河川にてキャッチした、
緑背(グリーンバック)の美しい良型個体。

飛騨・神岡の居酒屋。
「狭や」の長尾さん曰く、この水域におけるネイティブ魚の証なのだとか…






魚の顔も見れ、
なかなかに満足な飛騨釣行初日だった。


二日目に続く…