モンゴルに着いて二日目の朝。
目的地へ向けて移動を開始した。
今回向かったのはチョロート川。
アルハンガイ県を流れるセレンゲ河の支流の一つで、
タイメン釣りにおいて日本ではとても名の知れた川だ。
ウランバートルからチョロート川までは陸路で片道500キロほど。
先ずはウランバートルで食料や調味料、最低限の調理器具を買い込む。
チョロートまでの道中は見渡す限り草原が広がっていた。
ポツポツと遊牧民のゲルが点在しており、時折家畜の群れが道路を横断する。
羊、ヤギ、牛、馬、ヤク…
最初は写真を撮っていたが、
直ぐに見慣れてしまい、日常的な光景となってしまう。
途中、ハラホリンという町で一泊。
早朝に町を出発し、
次の日のお昼頃にはチョロート川に辿り着くことができた。
荒々しく切り立った崖の下を流れるこの川にタイメンが…
気になっていた川のコンディションだが、
水は透明度が高く、水量も多くなさそうだ。
ここからさらに悪路を走り、良さげなポイントを見つけては、
ベースキャンプを設置しその周辺を釣り歩く。
ドライバーのおっちゃんは釣りのことが全く分からないため、
地図を見ながら細かく指示し、目星をつけていたポイントに走りまくってもらった。
良さげな場所にベースキャンプを設置。
この時点で18時を過ぎていたが、
夏季のモンゴルは日照時間が長く、朝の5時から夜の22時頃まで明るい。
まだ少し釣りができそうだったため、肩慣らし程度の軽い気持ちで水辺に立った。
川幅が狭く、急流域が点在するチョロート川は、
宇治川で育った自分にとっては馴染み深いシチュエーションだった。
もし魚がいれば勝負は早いだろう。
20時を過ぎ、薄暗くなりだしたタイミング。
川のあちらこちらでライズが起こり、釣り人の活性も上がる。
…レノック??それともグレイリングだろうか??
タイミング的にそれらの魚を追いかけ、
タイメンも捕食モードに入っているかもしれない。
S字形のビッグベイトを結び、流れの中を探っていく…が、反応は無い。
暫く釣り下ると、良さげな荒瀬が見えてきた。
ここには絶対魚が居着くだろう。
立ち位置を決め、放った一投。
…
……
………
…ズバ―――ン!!!
…!?…
突如、赤い水柱が上がり、ロッドが大きく絞り込まれた。
ドバドバ…バッシャ―――ン!!!
次の瞬間、赤黒い魚体が水面を躍り出る。
…きた!タイメ―――ン!!
本命との初コンタクトに一人歓喜するも、喜ぶのはまだ早い。
荒瀬の下流側には大岩が点在しており、走られたら厄介なことになる。
ルアーの掛かり的にいけると判断し、強引に浮かせ距離を縮めていく。
あと少しだ…
周囲に誰もいなかったため最後はセルフランディング!
足場が足場なだけに少し手こずるも、無事キャッチすることができた。
…やっと逢えた。
手にした初タイメンはとりあえずの目標サイズ越えだったが、そんなことどうでもいい。
やっぱり最初の一尾は格別。
自分たちで一から探した場所で出逢えた、とても嬉しいイッピキだった。
開始早々、既に満足感で満たされてしまっているが、
チョロートの釣りはまだ始まったばかりだ。
さて、どうなることやら…