2015年8月10日月曜日

恐怖の殺人マシーン…オオスズメバチ。









オオスズメバチ…


日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い。

殺人マシーンと化したオオスズメバチ…

今回は奴等に殺されそうになったお話です。





先週末。

とある渓流魚を求めて山に入った。

釣り竿片手に渓流を釣り上がっていく…


本命ではないが、
ニッコウイワナが順調に釣れ続けた。



釣りをしていると下流側から…


「こいつ!なんやねん!」


いたるさんの声が聞こえてくる…


幾度と無く、
スズメバチがまとわりついてきたみたいだった。

思うにおそらく威嚇…


とくに気にも留めていなかった。





スズメバチの危険は十分に知っていた。

スズメバチが寄ってきても、
コチラ側から攻撃しない限り、向こうから攻撃してくることはない。

幼少期。
カブト・クワガタ取りをしていると幾度と無く遭遇したが、
刺されたことは無いし、襲われるなどの被害に遭遇することもなかった。




魚止めの滝を二つ越え、
目的魚が生息しているであろう源流域に到達した。

いたるさんと合流し、
協力しながら滝を登っている最中だった。



ブーーーン…



大きな羽音が聞こえ、
とっさに水中に逃げ込む、いたるさん。



!?



周囲を飛び交う、
二匹のオオスズメバチ。


先ほどまでの威嚇の様子はなく、
臨戦態勢だった!



マズイ…



と、思った時には既に遅かった。


二匹のうち一匹がオシリを突き出し、
奇妙な飛び方をしている…


「水の中に逃げろ!!!」


いたるさんの声を聞き、
とっさに滝に飛び込んだ!



周囲に奴等はいない!?



様子を見計らって、いたるさんと二人、
下流へ向けて全力で駆け下った。


今どの辺りだろうか…

時間の感覚が無くなってきた。



周囲に奴等の気配はない…


撒いたか…


鬱蒼とした茂みを抜け、
ひらけた場所に出た瞬間だった。


後方のいたるさん目掛け、
凄い勢いで迫り来るオオスズメバチの姿が目に入った。


「いたるさん!うしろ!!!」



とっさに水中に飛び込むいたるさん。

標的を失ったオオスズメバチは自分めがけ、一直線に飛んできた。


走って逃げようとするが、
ウェーダー内でブーツが脱げ、水中に転倒!


体勢を立て直し、
林に逃げ込み、渓流横の林道に出る。


林道を駆け下りると、遠くに車が見えた…


車が見え、少しホッとしたが、
安心したのもつかの間。



ブーーーン!



後方から複数のオオスズメバチが迫いかけてくる!!!


無我夢中だった。


林道を全速力で駆け抜ける!




あ、あと少し…



…バタン!!!




なんとか車内に逃げ込むことができた。



落ち着いて、周囲を見渡す…

後方からついてきている筈のいたるさんの姿が見えない…


いたるさんは無事なのだろうか…

携帯は圏外のため、連絡を取ることはできない。


どうしようか…

あれこれ考えていたら…





ゴン!

……

ゴン!!

………

ゴン!!!

…………



!?



何の音だ??




音の正体は奴等だった。


車内に逃げ込んだ自分を攻撃しようと、
オシリの毒針を突き出し、車に向けて突進を繰り返している。


車の周囲を確認すると、
5~6匹のオオスズメバチに囲まれている…


四方八方から攻撃を繰り返すオオスズメバチ…

時間が経てば経つほど、その数は増した。


ここにいれば刺される心配はないが、
殺人マシーンと化した奴等の執念…

今思い出しても恐怖でしか無い。



しばらくすると、
車の後方でいたるさんの姿が見えた。

クラクションを鳴らし、
自分が車に乗っていることを知らせる…


「車は囲まれてます!!!早く乗って!!!」




車を走らせながらいたるさんを拾い、
林道を走り抜ける…



ゴン!


ゴン!!


ゴン!!!



車後方からあの音が鳴り響く…



山を駆け抜け、
人間の生活圏内に出てきた。

助かった…

コンビニで飲み物を買い、一息つく。

久々に恐怖を感じた…

あの状況で二人共が無事に逃げることができたのは、
奇跡だったかもしれない。




次の日の釣りのため、
場所を大きく移動し、この日は車中泊。

調べ物を済ませ、ゆっくりと深い眠りについた。




…もう大丈夫だろう…








……




………




次の日の朝…


車を誰かにノックされるような音で目が覚めた…

嫌な予感が頭をよぎる…




ゴン!




ゴン!!




ゴン!!!




大きな羽音と共に、ガラス越しに目に映ったのは、
昨日見たものよりも巨大なオオスズメバチだった…










スズメバチについて…



スズメバチに刺されると、
刺された箇所が激痛と共にパンパンに腫れ上がる。

恐れられているのがアナフィラキシーショック。
命にかかわるような激しいアレルギー反応のことだが、
これは一度刺されたことのある人は要注意。
一度刺されると、蜂毒に対して抗体が出来てハチアレルギーになり、
中には身体が過剰に反応し、ショック死に至る可能性があるという。

アナフィラキシ-ショックは蜂に刺されてか数分以内におき、
全身が赤くなる、呼吸が苦しくなる、血圧が下がる等の症状が起きる。
もし刺されたら、10~15分の間に病院で治療を受けることが重要である。

スズメバチに刺された場合の応急処置としては…


1.すぐに毒を絞り出す(口はNG、指でつねって絞り出す)。

2.水で洗って冷やす(毒の回りを遅くする)。
ポイズンリムーバー等の、吸引器があれば吸い出す

3.抗ヒスタミン軟膏やステロイド剤などを塗布。


などなど。

なんにせよ、応急処置を素早く済まし、
速やかにその場を移動して病院へ行くのが一番だろう。





スズメバチの警報フェロモン…


今回、執拗に追いかけられた原因と思われるモノ。

彼らにとっての天敵。
攻撃対象と見なしたターゲットに吹きかけ、
警報フェロモンの匂い目印に集団で襲いかかる。

警報フェロモンは刺された時に、
毒液とともに放出すると言われているが、
幸いなことに今回刺されてはいない。



思い当たるフシとしては、
いたるさんと協力しながら滝を上がっていた時。

この時に自分の前に現れたオオスズメバチは、
オシリを突き上げ、奇妙な飛び方をしていた。

奴等はこれ以降は襲いかかってくるようになった…

…この時に警報フェロモンをかけられたのではないかと思う。
それ以前はいたるさんに強く執着していたため、
何らかの要因で吹きかけられてしまったものと思われる。


ちなみに警告フェロモンの半減期は数時間から3日という文献もあった。



次の日、朝一の襲撃…


なんとなく予測はしていたのだが、
前日の襲撃時、警報フェロモンが車にも吹きかけられており、
別のオオスズメバチがそれに反応して攻撃してきたものと思われる。

薄暗い時間帯(オオスズメバチが活動する前)に入渓していたら…
車に戻ってきた際に攻撃態勢のオオスズメバチにヤられていたかもしれない。

…考えるとゾッとする。






今回のような山奥の渓流だけでなく、
人の生活圏内にも現れるスズメバチ。

もし彼らと遭遇しても、
大声をあげたり、手で振り払おうとしてはいけない。


コチラから危害を加えない限り、
彼らから攻撃してくることはないとされている。

何もせずに立ち去るのが一番だろう。

ただ、今回のように見に覚えがなくても、
襲われるケースもある。

もし襲われたら、
逃げる以外の選択肢はないだろう。

警報フェロモンを吹きかけられれば最後。
次第に数は増えていき、集団で襲いかかる。


年間数十名の方が、
スズメバチ被害で亡くなっている。

蛇や熊よりも危険な存在だと言えるかもしれない。


産卵期の秋口は特に攻撃的になるという…

みなさんもご注意を。


今回の記事は自分の実体験を元に書きましたが、
スズメバチの生態に関して、詳しいわけではありません。

各自で正しい知識を持って対処してください。

何があっても当方は一切責任を取りませんのであしからず…


*写真はフリー画像提供サイト様から引用させて頂きました。