2019年2月28日木曜日

南米釣旅2019 ウルグアイ編 その4…蒼い狼、タライーラ・アズール。




晴れた日が続いたある日のこと…




「お前たちの運に賭けてみよう。」


遂におっさん始動!!


が、相変わらずその表情は険しい。

決して状況が良くなったわけでないのだろう。



しかし、この日をどれほど待ち望んだことだろうか。

状況が状況なだけに釣りに出れるというだけでも感謝でしかなかった。




さて、待望の釣りが始まったわけだが、
狙いはこの水系のどこかに潜んでいるであろう、タライーラ・アズール。






いつものタライーラのイメージであれば、釣り上げること自体それほど難しくはない。

そこにいてルアーが目の前を通れば必ず食いついてくるはず。



身振り手振りで教えてくれたおっさん曰く、
タライーラ・アズールはゴツゴツした岩場の少し深いところ。

とくに日中はボトム付近にいる。

潜るルアーを使え!とのことだった。


おっさんの助言もあって、結んだのはクランクベイト。


普段、南米で使う機会の少ないルアーだが、
様々なシチュエーションを想定して今回はボックスに忍ばせていた。


バクシンスピナーベイトSHDとのローテーションで探りを入れていく。



それは、浅いワンドに差し掛かった時だった。


いかにもタライーラが潜んでいそうな、ブッシュ際にクランクを送り込むと…



…ガツン!!



気持ちの良いアタリと同時に水面が割れた。




お、こいつは…!?


いや、なんかいつも見ている奴に近いような。




おっさん曰く、この水域にタライーラは二種類棲息しており、
こちらは大きくならない種類だという。




外見は一般的によく見かけるタライーラなのだが、
マラバリクスだろうか…??




パイクシクリッドも飛び出した。

初めてみる種類だけど、Crenicichla scotti かな??


南米広域に多数のパイクシクリッドが棲息しているけれど、
自分は片手の指で数えれるほどしか出逢えていない。

実物を見たら発狂してしまいそうな美麗種も多いので、
そのうちパイクシクリッドを追いかける旅!なんてのもやりたいな~なんて思っていたりして。笑



出だし好調に思えたが、
以降は全く魚からの反応を得られないまま、時間だけが過ぎていく…



タライーラ・アズール…



おっさんの言う通り、やはり個体数が少ないのだろうか。



それとも…??



より広範囲を探るため、釣り方をトローリングに切り替えた。

おっさんが、ここだ!
と言わんばかりにボートを走らせたのは、少し水深がありゴツゴツした岩場。



シチュエーション的に、
過去ベネズエラにてアイマラ (タライロン) を狙った時のことを思い出した。

その時にお世話になった漁師も、
日中は少し水深のある岩場に潜んでいると言っていたな。

底生で夜行性の彼らが浅瀬にさしてくるのは夕マズメ以降。

タライーラ・アズールもそれに近しい習性なのだろうか。



水温低下の影響も少なからずあるとすれば…



よりダイレクトに攻めるため、ディープダイバーに切り替えた。


ボトム付近は思っていた以上に起伏が激しく、
ガツガツと強い感触がロッドを介して伝わってくる。

ここは如何にも…といった雰囲気のエリア。


直ぐにスタックしてしまうが、気配は濃厚。

最も期待できるエリアゆえに集中した。



そして、その瞬間は唐突に…



とあるタイミングでルアーをスタックさせてしまい、
ルアーを外しに船を後退させた瞬間だった。

ルアーが外れ、テンションが抜けた直後に…



…ドグンッ!!



鈍い感覚と共にロッドが絞り込まれた。



え、魚…!?



…ドバドバッ!!!



ドバッシャ―――ン!!!



…!?…



「奴だ!!しかも、デカい!!!」



水面を割って高く飛び上がったかと思いきや、一気に深みへと潜っていく!!



遂に姿を現した蒼い狼。



「…かっこええ。。」



水面を割って踊り出るその姿に思わず感嘆の声が漏れる。



奴は弱る気配無く、ボート際で抵抗を繰り返した。



が、遂に…






タライロンでなく、これがタライーラ…所謂ホーリーの最大種。


Hoplias lacerdae / ホプリアス・ラセルダエ


太陽光を浴びて青銀に輝く魚体が眩しい。





タライロンに比べ、頭の形はやや扁平で精悍な顔つき。

尾筒の太さ、各鰭のサイズ感、体系的に見ても確かにタライーラ。

しかしここまで大きくなると、もはや別物に見える。





ちなみにラセルダエの下顎はこんな感じ。

下顎から鰓にかけて、
タライロン程ではないが開いており、少しタイトなU字。

単にサイズ感の違いというのもあるかもしれないが、顎周りの分厚さが規格外だった。




Huerco XT510-4C
SHIMANO US CURADO200E-7
YGK ウルトラキャストマン フルドラグWX8 #4
自作ワイヤーリーダー
LUCKY CRAFT FATCB DR
ICHIKAWA FISHING カマキリトレブルX88#2




残り時間の都合上、ボートで釣りができたのは二日。

正直、厳しい釣りだったけれど、
同行者のいたるさんもカッコいい魚をキャッチ!!


旅の前半戦を共に笑顔で締めくくることができた。





タライーラ・アズール…


古代魚好きには堪らない。

想像していたよりも遥かにカッコいい魚でシビれた。


地球上にはまだまだ自分の知らない世界があって、
こんな素晴らしい魚との出逢いが待っている。




まだ見ぬ魚、そして新たなワクワクを求めて、
気がつけば水辺に立っている自分がいるんだよな。





ウルグアイの田舎町で憧れの魚たちを追いかけた日々。

我々の釣りに付き合ってくれた漁師さんをはじめ、
旅の道中は多くの方々にお世話になった。


今回もそうだったが、
我々にとって釣り旅の基盤となっている、バックパッカースタイル。

ツアーに参加したり現地ガイドと連絡を取り合うことなく、
自分たちの足で現地へ飛び込み、漁師や船頭と現場交渉して釣りガイドとなってもらう。

コストを掛けず、かなりの低予算で旅できるが、
釣りができるという保証もないし、道中のトラブルはつきもの。

釣りだけを楽しみたい。そんな人にはツラいだけかも。

でもね、なんだろうこのワクワク感。




地球の裏側で家族や友人ができたり、
夕焼けに感動したり、イッピキの魚に涙したり。

旅の中で得た出会いや経験の数々。

それは決してお金に代えることはできない。

今の自分たちにとって大切な宝物。




「またこの町に戻ってこい。もっとデカいのを釣らせてやる!」


…ニヤリと笑うおっさん。



「ああ、勿論さ。次はもっとデカいやつを!

「そしてお世話になったみんなに会うためにも必ず!!…ね。」