2020年11月9日月曜日

琵琶湖のワタカを追いかけて。




”ワタカ” という魚をご存知だろうか。




ワタカ


日本に生息するコイ科の一種。

食性は雑食性。

水草などの植物を好んで食すが、水面を漂う小さな昆虫なども捕食する。

本来の在来分布域は琵琶湖と淀川水系なのだが、
全国各地の水辺で見かける機会も…

増えすぎた水草の除去目的や、
琵琶湖の稚鮎に混じって全国各地へ放たれて広がったという説が有力らしい。


自分が初めてキャッチしたのは九州、熊本だった。




熊本にて、スピナーでキャッチしたワタカ。


雑食性のコイ科の魚ということもあって、
スピナーやスプーンなどにも好反応!

淡水域におけるゲームフィッシングのターゲットとして…

フライで狙う人はチラホラいるみたいだが、ルアーで専門に狙う人は少ないかな。



移植された地域では釣果情報としても比較的よく聞くのだが、
在来分布域の琵琶湖や淀川水系では数も少なく、なかなかお目にかかれないイメージだ。

初めてのイッピキでとても嬉しかったのだけれど、
いつかは在来分布域の琵琶湖で出逢いたいなーなんて。


そう強く想い続けていた魚だった。



熊本で初めてのワタカに出逢う前から、
琵琶湖でワタカを追いかけていた。

琵琶湖のワタカの情報なんて調べても出てこないし、完全な手探り状態だ。



春夏秋冬、時間があれば何度も足を運んだ。


餌にルアー…いろいろ試してみたけれど、
本命はボウズ、ボウズ、ボウズ…



それらしい姿を見かけたり、感触を得る事も無く、
ただ時間だけが過ぎていた。




梅雨に入ったある日の事…


そう言えば、
ワタカは梅雨時期になると産卵で浅瀬にさしてくるという話を聴いた事がある。



通いつめていたポイントの近くを通りかかり、
ふと、ワタカが頭をよぎっていたのだが、ひょっとしたら…


この日は地元の友人とハス釣りに行く予定だったが、
ちょっとだけ立ち寄りたいところがあるんやけど…と、ハンドルをきって車を走らせた。



目星を付けていたポイントをランガンしながら、軽く探っていく。



すると突如、




…ズバーーーン!!




炸裂音と共に上がる水飛沫!!



友人のルアーめがけて何かがアタックしてきた。

フックアップに至らなかったが、今の魚は一体??



周囲にはバスの姿もチラホラ…


バスだったのだろうか??



その後は反応無く、自分の中で本命ポイントに移動。


しかし、移動した先では反応も無く、
先ほどのポイントに戻ることにした。



ひょっとしたら…



先ほど派手なバイトがあったコースを再度友人に通してもらう。



水面直下を弱々しく泳ぐミノー。



水面直下でギラリと光る白銀の魚体。

間違いない!ワタカだ!!



すぐさま、友人にヒット!!


511を絞り込んで、ギュンギュン走る魚。



…デカい!!!




「うおおおおおおおおおっっっっっっ!!!」


「ワタカやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」




釣り上げた友人以上に喜び、発狂する自分。笑




デカい…


このサイズは初めて見たが、
頭から背鰭にかけて盛り上がってて見事なセッパリ。

マジでカッコいい。。


その魚体をじっくり観察させてもらい、水中へと返した。



やっぱり此処なんだ。


ワタカはいる!!


マイクロスプーンやスピナーを投げてみるもイマイチ反応が良くない。

苦戦する自分を見かねた友人がヒットルアーのミノーを借してくれた。


コン!とか、クン!みたいな細かいアタリがあるのだが、
なかなかフックアップ出来ない…

徐々に魚からの反応も鈍くなっていく。




釣り場を休めることも兼ねて、ポイント移動。



移動した先では魚からの反応はなく無…

そして突然のスコールに襲われて雨宿り。



小休止。



あのサイズで想像していた以上に小さい口だったな…

あれこれシミュレーションした上で、フックセッティングを変更。



先ほどのポイントに戻った。



先ほどの雨でリセットされたのだろうか、あちこちでライズが見られる。


友人からミノーを借りて放った一投目。



…ズバーーーン!!



着水からの巻き出しで水面が炸裂!!



ギギギギギギギィィィィ!!!



ドラグ音が鳴り響く!!



遂にノッた!!!



511が絞り込まれ、
ギュンギュンと気持ちいい引き。


ささ濁った水の中から姿を現したのは、良型のワタカだった。


最後は足元で大暴れ。


フックはバーブレスなのでモタモタしていられない。躊躇する間もなく引き抜いた。



「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」





やっと出逢えた、琵琶湖のワタカ。




まさかあんなに派手にバイトしてくるとは…


目の付き位置や体系など、
パッと見で日本の淡水魚らしくない…

なんて言ったらワタカに失礼だろうか。


中国大陸には大~小、いくつかの近縁種がいるのだけれど、
日本にも生息していると思うと、なんだかロマンを感じるね。

大昔、日本列島が大陸と陸続きだったことを証明してくれる貴重な存在なのかも。




帰りがけに小さなライズを発見!

スピナーをキャストすると可愛いサイズのワタカが飛び出した。


そんなこんなで気がつけばあたりは真っ暗。

ハス釣りそっちのけで最後まで付き合ってくれた友人に感謝だ。




琵琶湖のワタカ…


また一つの目標を失ってしまい、
寂しい気持ちも少しあるが、出逢えてとても嬉しかったな。


それにしても、ワタカ…

自分のフェチ心を擽るとても良い魚だった。


これからも年に一度は、彼らに逢いに此処の水辺を訪れたいと思う。