旅における相方はとても大事な存在。
一緒にいる時間が長ければ長いほどに、
お互いの嫌な一面を見てしまったり、不満に思うこと、
時としてぶつかり合う時もあるだろう。
同行者は決して誰でもいいというわけではない…と、自分は思っている。
それは旅先で出会う協力者でも同じ。
さて、今回の旅における釣行期間も折り返し地点。
相変わらず6人のパーティーで動いていたのだけれど、
長く一諸にいれば、まぁいろいろとトラブルなんかもね…
ある日の事、
自分達が魚を釣り上げているのを見ていたガイド役のおっさんが、
自分もやってみたいのでタックルを貸してくれと言う。
今までにもこういった展開は多々あった。
ルアー釣り文化の乏しい国では釣りをしながら、
最適な船の流し方やその他諸々を教えて理解してもらわなければならない。
感覚の違いや言葉の壁などもあって簡単ではないが、
一緒に釣りを楽しみ理解してもらうのが一番手っ取り早かったりする。
そういった意味でも一緒に釣りを楽しむのは大歓迎なのだ。
なによりもお互い楽しい時間を過ごせれば良い事尽くし。
ちなみに彼は釣りをしたことの無い素人。
少し時間をかけて基本動作は教えたのだけれど、
今回は強めのベイトタックルしか持ってきておらず、キャストも難しいだろうな…と言ったかんじ。
力任せに竿を振るもんで、大バックラッシュ。
こればかりは仕方ない。
直ぐに諦めるかと思いきや、おっさんはヒートアップ。
釣りをするのはいいのだけれど、
背後を確認せず、全力で竿を振って振って振り回す。
さすがに危険と判断し、
自分達、そしてキャプテンが注意したがやめない。
あと少しで大怪我…そんな場面が多々あったので、
おっさんからタックルを取り上げた。
「誰かが怪我をすればそこで釣りが…いや、この旅も終わってしまう。」
「釣りをしたい気持ちは分かるが、あなたはガイド役。今は自粛してほしい。」
注意したのだけれど、、
「ここはパプアだ!」
「みんなで楽しむのがパプアのやり方だ!」
いや、それは分かるんやけど今はそういう事を言ってるんじゃなくて。。
「よそ者のお前達に指図される筋合いはない!!」
何を言っても聞く耳を持たないおっさんは声を荒げて逆ギレ。
ボート上の空気は悪くなるばかり…
「あいつには何を言っても無駄だ。」
「俺達が言っていることも聞き入れない。」
キャプテン達もあきれ返っている。
はぁ…
期間中はこんな些細なやり取りが多々あったのだけれど、問題はこの後…
釣行も折り返しにさしかかったある日の事。
ホームリバーの状況が良くならないため、
キャプテンがキャンプ泊での遠征を提案してくれた。
一泊二日なのでほぼ弾丸キャンプ。
別河川で人里から離れた魚影の濃いエリアと言う事もあって期待は大きい。
朝一から丸一日移動を繰り返し、
やっとのことで目的のエリアに辿り着いた。
夕マズメは釣りができそうということでタックルをセット。
と、ここで問題発生。
おっさんが声を荒立ててキャプテンになにかを言っている。
ローカル言語なので何を言ってるやらさっぱりだが、
聞くと「疲れたから家に帰りたい!」と騒いでいる様子。
おいおい、マジか…
ていうか、あんた。
出発してから今までボートの上で寝てただけやん…
キャプテンやスキッパー達の表情も険しくなるばかり。
みんなでなだめるも、
声を荒げて「俺は帰りたい!」の一点張り。
キャプテンへの日当などもおっさんが握っているもんだから、
彼らも意見ができず困っている様子だ…
はっきり言って不安だったので、
出発前に大丈夫なのか??って、何度も聞いたんだけど…
ラチがあかなくなり、
結局、殆どまともに釣りもできず村にとんぼ返り。
丸一日の移動が無駄になり、貴重なガソリンまで…
…いや、もうなんかドッと疲れた。
そしてこのタイミングで、さらにお金が必要だと言い出した。
村での滞在費や釣りでかかる費用は全て最初におっさんに支払ったのだが、
スキッパーの兄ちゃん達への日当を日数分追加で払えと言うのだ。
いや、ちょっと待って。
釣りに関してはキャプテンとおっさんの二人で行くっていう話だったところに、
スキッパーの兄ちゃん二人も加わって、
断ったけれど日当は必要ないから大丈夫って言ったのはあなただよね?
交渉時の筆談メモを見せ、
順追って説明していくと、焦り出すおっさん。
「わかった!!」
「確かに俺はお前達に払わないでいいと言った!だから払わなくてもいい!!」
「いや、そういう問題じゃなくて。。」
もう、グダグダ。。
いろいろ世話になっているとは言え、おっさんには不信感しかない。
そんなこんなで精神的にも疲れ果てた…
お金がどうこうの話よりも、
旅先でこういう揉め事はほんと疲れるし、旅が終わってからの後味も悪い。
おっさんも決して悪いやつではないのだけれど、
釣りに連れて行くには不向きすぎたな。
お金を払うタイミングはその時によって様々だけど、
料金などの交渉は必ず筆談で数字を書き残しておけばもしもの時に強い。
キャプテン達への日当の交渉や支払いはおっさんの仕事ということで、
今回はおっさんに責任を持って解決してもらった。
最後の最後に感謝の気持ちも込めて兄ちゃん二人には相応のチップを渡したのだけれど、
彼らには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
キャプテンとスキッパーの兄ちゃん達が頑張ってくれたおかげで朝一には村に到着。
夜通し操船していてくれたらしく、さすがに疲労困憊の様子だった。
村に到着後、泥のように眠ったが、お昼過ぎには目が覚めてしまった。
さすがに今日は釣りできないだろうな…
となると、あと一日か。
あんな事もあったから、
今回の旅でもう釣りなんてできないかもな…
そんなことを考えながら横になっていると、遠くの方からキャプテンの姿が。
スキッパーの兄ちゃん達も一緒だ。
殆どなにもできずに終わった自分達を見かねてか、今から船を出してくれるという。
…ほんと感謝でしかない。
「みんな!本当にありがとう!!」
残った最後のお金でガソリンを買い足し、ボートを走らせた。
潮止まりのタイミング。
やってきたのは小さな支流と本流の合流点だった。
ピンで深くなっており、魚が溜まるであろうスポット。
CDマグナムを沈めてクランキングで探っていく…
それは数投目の出来事だった。
…ズドン!!
強い衝撃と共にリールを巻く手が止まった。
…ギュギュギュギュギューーーーーーン!!!
…ズバズバズバッ!!!
ラインが水面を切り裂き、水面を割ったのは白銀のデカバラ。
Huerco:XT605-4C
SHIMANO:スピードマスター200
VARIVAS:アバニマックスパワー#6+ナイロンショックリーダー100lb
RAPALA:CDマグナム14