2020年11月4日水曜日

利根川でアオウオに出逢う。




初めての水辺、初めての釣り、
初めての魚ほどワクワクできるものはない。

今回はそんな初めてずくしのイッピキを追いかけたお話。






今回追いかけたのは"アオウオ"と言う魚。



2020年某日。



釣りの舞台となる水辺、
関東平野を流れる利根川へと向かった。



いつかは…



そんなことを想い続けて何年経っただろうか。



"アオウオ"



明治~昭和かけて中国大陸から移植された中国四大家魚の一種。


中国四大家魚とは、

アオウオ(青魚)、ソウギョ(草魚)、ハクレン(白鰱)、コクレン(黒鰱)

上記の四種類の魚のことを指す。


国内に移植された大半がハクレンとソウギョとされており、
その中にアオウオとコクレンがごく少数混じっていたと言われている。




植物プランクトンを主食とするハクレン。




水草や葦の葉など、草を主食とするソウギョ。



アオウオに関して言えば、
日本では棲息する水域が限定されており、
天然繁殖が確認されているのは利根川水系のみ。

ハクレンやソウギョに比べて個体数は非常に少なく、
幻の魚と言ってよい存在だろう。


ちなみにアオウオよりも個体数が少ないとされるのがコクレン。

こちらは幻中の幻か…


決して簡単に出逢える魚ではない。

しかし、調べれば調べるほどに魅力的な魚。


魚のカッコよさは勿論、
先人達が確立したアオウオを専門に狙う釣りスタイルなど。


日に日に"アオウオ釣り"に惹かれていく自分がいた。



「アオウオってカッコいいよな~」


「今度一緒に狙ってみません??」



数年前に釣り仲間のミッツと交わした約束がキッカケだった。


いろいろなタイミングが重なり、やっと初挑戦の機会に恵まれた今回。


当日までは関東在住のミッツと連絡を取り合い、作戦を立てる日々だったが、
ミッツが実際に現場に足を運び、目ぼしい場所を探してくれていた。


関西在住、
何度も足を運ぶ事ができない自分にとってはありがたい限りだ。




河川敷を歩いて見て回ると、草が刈り取られたポイントも…


アオ師の方だろうか。


迷惑をかけるわけにいかないので、離れたポイントで竿を出す事にした。


ミッツが事前に見つけてくれた場所で、
シーズン前から草を刈り取ってくれていたポイントだ。


草は徐々に伸びてきており、先ずはカマを片手に草刈作業から始まった。



草を刈りながら水辺を観察。



目の前にブレイクがあって、流れあたりも悪くない。

魚のもじりは見えず静かだが、おそらく回って来るだろう…



ナス錘をキャストして地形を把握。


ブレイクはあるが、
それほどキツいわけでもなく、どちらかと言うとなだらかなイメージだ。



掛かってからのやり取りのことも考え、
この場所でがっつり腰を据えて挑む事にした。



仕掛けは中通しや三つ又サルカンを用いた捨て錘式


餌はタニシを使用。


なんとか10キロ程のタニシを調達することができた。

4日間の釣りだと単純計算で1日2.5キロ。



少ないほうだと思うが、実際には丁度良かったかもしれない。



ブレイクの少し先に仕掛けが着底するようにキャストし、
底をとったらラインを馴染ませ、クラッチを切ってクリッカーをオン。


アタリがあれば音で知らせてくれるバイトアラームを装着。






最後に仕掛けを打ち込んだ周囲にタニシを撒いて準備完了!


あとは魚が回遊してくるのを待つだけだ…


南米でピライーバやジャウーなどのオオナマズを狙った時もそうだったが、
自分の中でブッコミ釣りにおいて重要なのは静かに待ち続けると言う事。

実績の無い場所や手探りの釣りだと不安になることもあるが、
ポイント選択や仕掛けのシステム、自分達の感を信じてとにかく待つ。


キャスト時の着水音や不必要な物音など、
必要以上にプレッシャーをかけたくないので、仕掛けの入れ直すのは1日に2回。


餌はタニシを使用しているため餌とりの心配も無い。


個人的に苦手な待ちの釣りだが、
南米のナマズ旅で忍耐力は鍛えたから大丈夫!…な、はず。笑



今回、竿を出したのは潮の影響を受けるエリア。

1日に数回チャンスが訪れるのだが、全て上げのタイミングだった。




ピピピピピッ!




突如バイトアラームが鳴り響く。




フワッ……フワッ……




道糸が大きく揺れる…



吸い込み系の前アタリ。


コイかアオか…??


早合わせは禁物だと判断し、竿先から垂れる糸を見つめる。


魚が仕掛けを持っていくタイミングを待ってみるも、
道糸が数回大きく揺れた後に反応が途絶えてしまった。


期間中、日中・夜間問わずバイトアラームが鳴り響く事が多々あった。


夜中に飛び起きて竿に駆け寄るも、
ラインを風に煽られただけや、仕掛けにゴミが絡んだだけ…なんてことも。


前アタリがあったとしても、
仕掛けをしっかりと持っていってくれるまで、待たなければならない。


最初は一つの針にタニシを4個付けていたのだが、
重くなってしまうため食い込みが悪いのではないだろうか…??


いろいろと考えることもあってシステムを見直すことに…


アオウオの捕食方法はコイの同じ吸い込み系ということで、
掛かり重視の段差針に変更。

仕掛けはというと、
道糸にナス錘を通してスイベルを装着したシンプルな遊動式だ。






吸い込みやすいよう、とにかく軽く…


よりスムーズに仕掛けを持っていかせるために、
付け餌で使用するタニシのサイズも厳選。


それぞれの針に中サイズのタニシを2個づつ装着した。

大サイズのタニシは撒き餌として使用。



大きなアタリがあったのは3日目のこと。


天気は良いが、まだ肌寒い時間帯。

朝ご飯を食べていると、けたたましくバイトアラームが鳴り響いた。




一番遠くに仕掛けた竿だ。



すぐさまロッドに駆け寄る。



カチ…カチ…カチ…カチ…カチ…




クリッカー音と共に、沖へ向かってラインがゆっくりと走っていく。



不気味な気配に一瞬戸惑ってしまったが、魚に違いない…




ラインを巻き取り、大きくアワせをいれた。



ロッドを介して伝わる、とてつもない重量感。


根掛かりを思わせるが、ゆっくりと動いている。




ジリジリとラインを引き出す、重い引き。



なんなんだこいつは…



テンションをかけ続けていると、



…グーーーン!…グーーーン!!



魚が大きく首を振っている感触が伝わった。



ミッツが他に出していた竿の仕掛けを回収してくれたのだが、
右側に出していた仕掛けがスタックしており、そちらに走られるとちょいとマズい。



ウェーダーを履いていたので、ブレイク付近まで立ち込んでのファイト。




…ズバッシャーーーン!!!




目の前で巨大な尾鰭が水面を叩いた瞬間、ミッツと二人して吠えた。




「アオじゃあああああああああああ!!!!!」



まだキャッチしていないのに歓喜する我々。


大きな水しぶきを上げて急潜行するアオウオ。



短時間で寄せてしまったせいか、魚はまだまだ元気だ。


しかしその距離は着実に縮まってきている。


テンションをかけて魚を浮かせにかかった。



ボコ、ボコッ…



泡を吐きながら浮上する巨体。




「くるぞ!くるぞぉぉぉぉぉ!!!」



…バシャバシャ、バッシャーーーーーーーーン!!!



大きな水飛沫を上げて、手前に突っ込んでくるアオウオ。


しめた!今だ!!



「ミッツ!!いくぞぉぉぉぉぉ!!!!」



最後は二人がかりでランディング!!

魚に飛びかかってキャッチした。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」






自分達が抱いた漆黒の大魚。

長きに渡って恋焦がれた憧れの魚、正真正銘の"アオウオ"だった。






Huerco XT710-5C
AVET SX5.3MC
石鯛用ナイロンライン16号+鯉ハリスPE10号
ナス錘30号+ソイ針19号+タニシ






まさか出逢えると思っていなかった…というのが正直なところ。


憧れの魚を手に嬉しい反面、
このイッピキの感動は二度と味わえないと思うと寂しい気持ちも少し。






とか言いつつ、
アオの時期がくると利根川の畔に立ってしまうんだろうな。






最高にカッコいいよ。


アオウオ!!






共に浪漫を追いかけてくれたミッツ!


本当にありがとう!!






利根川のアオウオ…

いつか、また。






最後に…


今回は4日間という短い期間でしたが、
素晴らしいフィールドで素敵な時間を過ごさせていただきました。

気持ちよく釣りができたのも、
全ては先人の方々が守ってこられた決まり事があったからだと思います。

釣り場にゴミを捨てない事は勿論、釣れた魚は大切に扱う。
また他の釣り師の釣り座に横入りしないなどの釣りマナーなども。

常識のあるアオウオ釣り師の方々によって、
この釣りの未来が守られているのだと思いますし、これからもこの釣りが楽しめますように。

生意気なことは言えない立場ですが、
この記事を見てこの釣りに挑戦する方がいらっしゃれば、
マナーを守って挑んでいただければと思います。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。