マグダレーナ川を遡ること数時間。
ボートは支流のさらに支流へ…
全体的に浅く、水質はクリア。
魚影はかなり濃く、
大~小、様々な魚の姿を目視できる。
この状況でワクワクしない釣り人なんていないだろう。
ああ、スピナーを投げたい…笑
ボートから身を乗り出して水辺を観察する我々。
「ははは。良いとこだろ??この上はもっとすごいぞ!」
タイミング的には乾季真っ只中。
水量も少なく状況は悪くなさそうだ。
ボートは何度か座礁し、
その都度、自分たちで押してチャラ瀬を乗り越える。
そんなこんなで、
日が暮れる前になんとか村に辿り着くことができた。
船頭のおっさんに紹介されたのはこのエリアを取り仕切るボス。
「こんなところまでよく来たな!日本人が来たのは初めてだ。」
ボスは見ず知らずの我々を笑顔で出迎えてくれた。
魚の写真を見せ、自分たちの目的を伝える。
「お前たちが探している魚はこの辺りにもいる。」
「しかし数は少なく、良い魚を狙うならさらに山奥へ行く必要があるだろう。」
「しかし…」
話を進めていくうちにボスの表情は険しくなった。
人里離れたコロンビアの奥地、
アンデス山中では麻薬の原料となる植物の栽培が行われており、
知らずに立ち入ると…
治安問題が改善される前は危険な噂を聴いたものだが、
あまり人が立ち入らない奥地には、まだまだいろいろあるそうで…
「奥地へ行けば魚も多いが、とにかく危険だ。俺たちですら近づかない。」
「もしお前たちが立ち入ろうものなら、どうなるか…わかるな??」
未だ奥地に潜むという麻薬カルテルの存在だろうか。
真剣な顔で注意を促されたが、
異国の地で自分たちの勝手な判断と無茶は禁物。
これまでの旅でもそうだが、危険要素や危険地帯。
現地の決まり事など、
分からないことは信頼できる現地人に聞き、
都度彼らの言うことに従ってきた。
さて、どうしたもんやら。。
肩を落とす我々だったが、それを気遣ってだろうか。
「山奥は危険だが、この村の近くなら安全だ。」
山に詳しい人間を紹介するから、
その人物と一緒に行動するなら釣りをしていいとのこと。
…ありがたい。
ボスの好意に甘え、
この村に住む一人の青年を紹介してもらった。
村には簡易宿泊所があり…と言っても、ただの掘っ立て小屋だけど。
滞在期間中はそこを貸してくれるとのこと。
ガイドや村での滞在費など。
諸々の料金交渉をするも、
どうもはっきりした答えが返ってこない。
後々に揉めるのは嫌なので、
最初にはっきりさせておきたいのだけれど…
どうなることかと思ったけれど、なんとか釣りが出来そうだ。
まだまだ未知数だけれど、
この先どんな魚との出逢いが待っているのだろうか。
いろいろ不安要素もあるが、ワクワクで仕方なかった。
残された時間的に釣りができるのは三日間。
この日は村で一泊させてもらい、釣りは明日から…
の、予定だったけれど、水辺が騒がしくなる夕マズメ時。
なにかしら釣れないかな…と、
村の船着き場からキャストを繰り返す。
流れを好む魚が居着きそうな流芯。
ミノーでチャカチャカやると、鋭いアタリと同時に水面が割れた。
おおっ!!この魚は…
アイシャドウ・ドラードこと、
Salminus affinis / サルミヌス・アフィニス
コロンビアにおける本命の一つで、今回の旅で見てみたかった魚だ。
まだまだ可愛いサイズだけれど、
最初のイッピキはやっぱり格別。
その後もポロポロ釣れたが、
日が暮れると同時に蚊の猛攻に遭い撤収。。
蚊帳付きのベッドに潜り込み、明日の準備を…
するつもりが、そのままバタン。。
ここまで移動続きだったのと、気を張っていたからかな。
泥のように深い眠りについた。