タガメ…
Lethocerus deyrollei
水中のギャングとも言われる水性昆虫の一種。
水田や小川…小さな水辺が彼らの住処。
彼らは水中に潜み、目の前を通る生き物に襲いかかる…
襲われた者は体内に溶解液を送り込まれ、肉を溶かされ、全て吸い取られる。
最終的には皮と骨しか残らない…
なんとも残虐な捕食行動でもあるが、
大型で肉食かつ、その姿形…
なんともカッコいい…
幼少期の自分は強く惹かれた。
水中のギャング…
タガメ…
この虫を探して最近は夜な夜な車を走らせていた。
灯火採集で獲ろうと考えていたけれども、自分が動き出したのは9月に入ってから…
正直、動く時期が遅すぎた…
この時期に灯火に飛んでくるのは稀らしく、
聴きこみでみんな口をそろえて言うのは「もうちょっと早かったらな~。」
この一言だった。
9月の第二週目…
今週は久々に雨が降らない予報だった。
今日は風も無い…
チャンスがあるとすれば今日しかない…
9月にもなるとカブト・クワガタシーズンはとっくに終了しているため、
落ちているとすればタガメ。
この日はやまきちさんとタガメ探し…
しかしそう上手くはいかない。
タガメに出会うことはできず、タガメの話しをして、夜が更けていった…
深夜頃…やまきちさんと別れ、一人夜の水辺探索に…。
ここは前日の夜に見て回った場所…
灯火採集後に少し網を入れたが、網に入ったのはコオイムシとミズカマキリ…
本命は入らなかったが、ウワサに聞くタガメの生息環境としてはバッチリだった。
周囲の灯火ポイントの位置的にもいるとしたらここしか無いやろ…
少しの希望に託し、網を入れる…
なかなか姿を現さない…
かなり歩いたところで、諦めて引き返した。
引き返す最中に、一箇所良さ気な水生植物があった。
なんとなく網を入れた…
草でバッサバサになった網をひっくり返すと…
ぽとり…
…!?…
なにか大きな黒いモノが足元に落ちた。
うわぁぁぁぁぁぁ!!!
きたぁぁぁぁぁぁ!!!
タガメやぁぁぁ!!!
入れ物がないので、タガメを掴んでダッシュで車に戻る…
そして直ぐにやまきちさんに電話!
再び来ていただいた…夜遅くにすみません。
そしていろいろと本当にありがとうございました。
サイズ的に小ぶりなタガメ…
オスやろうか…
まぁ十分にデカいんやけど…
ムキムキ感が半端ない…
指を振り払おうと暴れた時の力はとても強かった。
小さい頃、昆虫界の憧れ的な存在だったタガメ。
一目見たくて…オオクワガタ以上にとにかく探し回ったなぁ…
いるところに行けばいるみたいやけど、
自分の地元では遠い昔に既に絶滅してしまっていた。
タガメはカメムシの仲間…
虫嫌いな人からしたら発狂モノかもしれんが…
個人的には最高にカッコよく、
これからも憧れの存在であることに変わりはないと思う。
水中に返すと、すぐさま戦闘態勢のタガメ。
やっぱりカッコええ…!!!
こいつらにまた会いにきたい…
タガメの住む貴重な環境がいつまでもあってほしい…
そう強く想い、水辺を後にした…